犯罪彼女
「久しぶりだね」
「……」
「とりあえず座りなよ」
女に促されるまま、座る。
女が目配せすると、看守は部屋から出た。普通じゃない。こいつは何者だ。
「単刀直入に言うよ。君、ここから出たい?」
「は?」
「私なら君をここから逃がすことが出来る。君は脱獄犯になるけど」
「お前が俺の脱獄に協力する理由がわからない」
「君に手伝ってほしいことがあるんだ」
俺がこいつを手伝う理由もない。
だけど脱獄も有りかと思った。
毎日毎日同じ日々の繰り返しで飽き飽きしていたから。
刺激が欲しい。
その先に成功して自由を得ようと、失敗して刑期が延びようとどうでもよかった。