犯罪彼女


人がいない廃ビルに連れて行かれた。

そこでやっと、女の足が止まる。


「まず一つ目の要件。
君は私よりも強いって思ってる?」

「……」

当然だ。
あの時の男さえ現れなければ、俺はこいつを堕とすことができた。

「まずはその認識を変えてあげるよ。
さ、どこからでもかかっておいで。私に勝てたら君は晴れて自由の身だ」

女は口角を上げる。
俺は男だし、これでも小学生の頃から空手を続けているのだ。

正直負ける気はしないけど、こいつはそれが望みらしい。


俺はよくわからないまま攻撃を仕掛けた。

< 223 / 256 >

この作品をシェア

pagetop