犯罪彼女
人がいない廃ビルに連れて行かれた。
そこでやっと、女の足が止まる。
「まず一つ目の要件。
君は私よりも強いって思ってる?」
「……」
当然だ。
あの時の男さえ現れなければ、俺はこいつを堕とすことができた。
「まずはその認識を変えてあげるよ。
さ、どこからでもかかっておいで。私に勝てたら君は晴れて自由の身だ」
女は口角を上げる。
俺は男だし、これでも小学生の頃から空手を続けているのだ。
正直負ける気はしないけど、こいつはそれが望みらしい。
俺はよくわからないまま攻撃を仕掛けた。