犯罪彼女
「ーーってわけだ」
街でたまたま会った、二宮・丸岡千恵子・丸岡雄一の探偵トリオと話していた。
二宮正義は小中学校で千葉と一緒にいた、面倒見のいい男。高校は大阪の学校に行った。
丸岡千恵子は二宮が大阪でつくった友達で、雄一はその双子の弟だ。
「千葉、あんたと別れる気なんちゃう?」
千恵子が言った。直接的すぎる言葉が胸に刺さる。二宮は千恵子を戒めた。
「でも事実やん。それ以外、理由考えれる?」
「お前なぁ……」
「いや、いいんだ。
そうだよな、ちょっと考えりゃわかるよな」
俺だけを避けている理由なんて、それくらいしか思いつかない。
「ち、千葉さん、何か、企んでる」
雄一が口を開いた。ボソボソと小さな声を発する。
「何か言ってたのか?」
「何も。…ただ、そんな気、する」
他人に怯える雄一の洞察力は、たいしたものだ。
そんな雄一がそう感じたのなら、多分それは事実なのだろう。
俺を避ける理由。
千葉の企む何か。
それらを知ることは避けたい、と正直思った。
きっと、それを知った俺は傷付くだろうから。