犯罪彼女
「さっき連絡来たんだけどな、今日の昼前に刑務所から舞島が逃げたらしい」
「舞島?」
「しかも刑務所の監視カメラに映っていたのは…お前の彼女っぽいんだ」
「千葉が!?」
どうやって手に入れたのか、山口さんはスマホから監視カメラの映像を見せてくれた。
刑務所の廊下を歩く舞島、先頭を行く女。
……まさしく、千葉だ。疑うこともなく、千葉だ。
「何考えてんだ? てかどうしてこんなことが出来たんだ?」
首を横に振った。知らない。
俺は知らない。
幼い頃から千葉が一人暮らしをしているわけも。
大金を手にしていたわけも。
千葉がああなったわけも。
千葉の家族のことも。
何も知らない。
知らなくてもいいと思っていた。
だって俺は今のあいつが好きだから。それだけでいいと思っていたから。