犯罪彼女
「何の事だかさっぱりだ」

「しらばっくれんな。お前は何を企んでいる?」

「てんで見当もつかないな。私、何かしたっけ?」

千葉の胸ぐらを掴む。
一瞬千葉は苦しそうな顔をした。

「舞島を逃がしたのは何故だ。
お前は何を企んでいる」

二度目の質問で、千葉は声を上げて笑った。

「もう私の言葉を信じてはくれないんだね。
そりゃそうか。私の言葉は嘘だってわかっちゃったんだから」

「……」

言われて気付いた。こいつを信じてやれていないことに。

でも仕方ないと思う。
カメラに映る姿を観てしまったから。
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