犯罪彼女


「……」

「あ、すーちゃん」

12月のわりに明らかに薄着の千葉が警察署の前にいた。鼻も赤くなっている。

……何でここに?

「仕事なくて暇だったからさ、一目くらい見てやろうと思って。
思ってたより早かったねぇ」

「山口さんが気遣ってくれたんだよ。お前のとこ行ってやれって」

「へえ。いい上司でよかったね」

千葉が笑った。機嫌が良さそうだ。
1ヶ月前のドタキャンの時もそうだったけど。

千葉が気にしていないならいいけど、なんとなくそうではない気がする。

何か考えていることがあって、それを俺には伝えていない。そんな気がする。
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