犯罪彼女
「晩飯食ったか?」

「まだだよ」

「何か奢ってやるよ。食いたい物教えろ」

「貧乏なすーちゃんが? 珍しいこともあるもんだねぇ」

千葉がからかうように笑う。
千葉の貯金よりは遥かに低いけれど、働いている分の金はある。
晩飯を奢るくらい出来るっての。

「この間ドタキャンしたしな。今日も約束守れなかったしな」

「気にしてたんだ。ふーん。
まぁいいや。食べたい物ねぇ」

千葉は少し考えてから答えを出した。

「そうだ、お鍋食べたい!」

「鍋?」

「うん。食材買って、すーちゃん家で鍋しよ!」

「それでいいのか?」

千葉が頷く。千葉がいいならいいけど。

「なら行くか」

署から徒歩20分。俺の家はそこにある。

途中のスーパーで食材を買い、アパートに着いた。
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