犯罪彼女
「原西さん、周りの住人から苦情が来ているの。あなたのせいで子どもが怯えて泣いているとか、勉強に集中できないとか」
アパートの大家のババアが俺に言ってきた。
俺が悪いと言う。俺が迷惑をかけていると言う。
本当に悪いのは俺か? いや、悪質な取り立てをしてくる奴らのはずだ。
このババアはヤクザに口を出せない。だから俺に文句を言っているんだ。最低最悪なクズめ。
「うるせえよ」
俺は開けていたドアを勢いよく閉めた。ババアの声が遮断されるが少しだけ。
怒るババアの耳障りな声は、安いボロアパートのドアじゃ防ぎきれていない。