犯罪彼女
「お前、動物嫌いじゃなかったか?」

ギクリ。

「さ、触らないから大丈夫だよ」

「ふーん。よく行きたいと思えたな」

すーちゃんが喜ぶ顔が見たかったなんて口が裂けても言えない。

そりゃ動物は嫌いだよ。見てる分にはいいけど、あいつら私を敵視するもん。
言葉がわからない分、あいつらの野生の勘はよく働くのだろうな。
私がいい人じゃないことがわかるんだろう。

「まぁ行こうよ。今日は多分入場まで時間かかるみたいだし」

水族館はペンギンのパレードがあるだけでなく、大きなツリーがあったり、イルミネーションがあったりする。

だから、カップルだけじゃなく、家族連れや友達同士にも人気らしい。ネットの知識だけど。



とにかく私はすーちゃんと歩き出した。
手を繋ぐこともしないのはいつも通り。
すーちゃんは異様に外で触れ合うことを好まない。
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