犯罪彼女
「これからどうなるのか不安って顔だねぇ」
女は俺に言った。整った口が意地悪に歪む。
「私の邪魔をするなんて、本当は万死に値する。だけど人間、一回死ねば終わり。そんな一瞬の苦痛じゃ私の心が納得しないんだよね。
だから君には、生きたまま地獄に叩き落としてやろうと思って」
女に呼ばれ、ヤクザと眼鏡が俺に近付く。
「そんなに大した話じゃないよ。君はこれから人間として生きられなくなる。それだけだ」
眼鏡が鞄から注射器を取り出した。怪しい。
それがためらいもなく俺の腕に刺される。あまり痛くないことを考えると腕が相当いいのだと思う。
腕に何かの液体が注入された。