犯罪彼女
「すいません! 到着しました!」
パトカーが到着し、中から警察が降りてくる。
1時間もかけて出動したこいつらを責める気にもなれない。
なにせ今日はクリスマスだから、道路が渋滞していたのだろう。
「こっち任せていいか」
「あ、はい」
新たに現れた警察官二人に客の安全を任せることにした。
「あの、どこに行かれるんですか?」
「中だよ中。俺のツレがいんだよ」
そう伝えて水族館の入口に向かう。
警察官達は俺を止めようともしない。
その方が都合がいいけど。
俺はそれなりに有名らしい。この前山口さんが言っていた。
噂は大きくなって広まり、俺はいつの間にか「不死身で痛みを感じない十万馬力のサイボーグ」にされていたらしい。
……まさか、それを本当に信じている奴もいないだろうけど。