犯罪彼女
「すーちゃん、あげる」
千葉がポケットからストラップを出した。
あまりかわいくない、ペンギンのストラップだ。
「どうしたんだそれ」
「クリスマスプレゼント。携帯にでもつけてよ。
あ、ちゃんと買ったやつだからね。盗んだわけじゃないからね」
受け取り、ペンギンの顔をマジマジと見つめる。
なんとも言えない表情。ちょっと腹立つ。
「何にも返せなくて悪いな」
「もとから期待してなかったから。むしろ夜景なんか見せてくれたことに驚きを隠せないね」
千葉が嬉しそうに笑う。いつもそういう表情してればいいのに。
あんな薄笑いなんかやめれば、俺ももう少し優しく出来るようになるかもしれない。