【完】狼様の最愛。
夕飯時、お祖父ちゃんが私に聞いた。
「……お祖母ちゃんとお祖父ちゃん。それに、友達も仲間もいるから、寂しくないよ!」
それは本心から言えた言葉。
「そうかぁ。」
お祖父ちゃんは頷いて、夕飯に手をつけた。
私だけが、独りだと思っていた。
お母さんが死んで、知らない村に連れて来られて
山の動物達のおかげで、あまりそういうことは思わなかったけど……。
お母さんが死んで、悲しいのは私だけじゃなかった。
お祖母ちゃん、お祖父ちゃんは、大事な一人娘を亡くしたんだ……。
私だけが、苦しいんじゃなかった。
そのことに気付いたとき、胸がギュッと痛くなった。