【完】狼様の最愛。
5.近く遠い想い
side アオイ
苛立つ、苛立つ……。
無性に、腹が立つ!!
俺達の担任となった崎野護も!
やたら最愛に構う、あの甘栗遥ってふざけた名前のヤツも……!!
最愛に近づく人間、全員に苛立つ……。
「アオイ様、まだ怒ってるのですか?」
麓に寝そべる、俺の頭上からやってきた女。
「ヒルナ……。」
「それも、そちらのお姿で。」
俺は今、狼の姿でいる。
気が荒れていて、人間の姿を上手くコントロール出来ないのだ。
「……怒っていない。」
「嘘つき。崎野先生やあの男子生徒に、嫉妬しまくってるじゃないですか。」