【完】狼様の最愛。








遠く古い昔。





俺のように、一族で強い力を受け継いで生まれた者は、何故か昼の間だけ、人間の姿になることが出来た。





それだけじゃない。



その者の血を分けると、分けられた者も昼の間だけ、人間の姿になれた。



ただし、一日のみ。



朝日が昇る度血を分けてもらわねば、人間の姿にはなれない。





そんな話があった。





今では、数少ない俺の一族。



俺を含めて、もう十匹もいないだろう。





話が本当か嘘か、そんな話を聞いたことはなかったが、俺は本当だと思う。





昔、ヒルナにそう話したのを、ヒルナは覚えていたのだ。








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