【完】狼様の最愛。
戸惑うように揺れる、ヒルナの瞳。
深緑の瞳に映るのは、月を背にしたマンタが頭を下げてる姿。
しばらくその場に沈黙が続いたが、決心がついたのか、ヒルナ瞳に強い光が宿った。
「……ごめん、マンタ。それは出来ない。」
「っ……なんでだよ!!」
「あたし、最愛を信じたいの。」
真っ直ぐに、マンタの眼を見るヒルナ。
「人間は嫌い。あたしのお母さんと、お父さんを殺したから。けれど最愛は……最愛は、野蛮な人間とは違う。」
「そう分かってても、心から信じられないあたしがいる。アオイ様や他の動物達が傷ついてると、最愛への疑心暗鬼がどうしてもあたしの心を襲うの。」