【完】狼様の最愛。
二人は、家族のように育った。
ヒルナは親を亡くして直ぐ俺と出会い、この山をうろつくようになった。
その時、まだマンタはいない。
マンタは、俺と同じ捨て子……捨て熊だった。
ただ唯一俺と違うのは、マンタには兄貴がいたこと。
マンタの兄貴……クンは、マンタと二人でこの山にやってきた。
直ぐに山の動物達と打ち解け、山の動物達も、クンとマンタを仲間と意識するようになった。
「マンタ……。俺、アオイ様に血を分けてもらおうと思うんだ……。」
クンがそう言い出したのは、暖かくなって数日が経った四月の始め頃。