【完】狼様の最愛。
クンは人間を好んだ。
恋愛としてじゃなく、友人として。
人間と動物は良き友達同士になれると、本気でそう思っていたんだ。
「少し離れてるんだけど、丘川という村に護って奴がいるんだ。」
「護?」
「そう、まもる。……護は、動物の言葉がわかるんだよ。俺は護と、もっと色んなことを体験したい。」
――人として。
俺はクンに、血を分け続けた。
その人間が二十一歳になった年、クンはこの世を去った。
血を与え続けて、約三年だった。
「俺は、もう誰もクン兄みたく死んでほしくねえ……。」
それからマンタは、寂しさを紛らわすかのように俺達と暮らし始めた。
その中でも、ヒルナとマンタは本当の家族のように毎日を過ごしていた。