【完】狼様の最愛。
「クン兄を失って、マンタがどれほど悲しい思いをしたかは分かってる。」
「けれどあたしはっ、最愛を心から信じたい……!」
「自分の眼で、最愛の心を確かめたい!!」
マンタは押し黙る。
勝負、あったな……。
木に寄せていた体を上げ、俺はマンタに近づいた。
「諦めろ、マンタ。一度決めたことは変えないのがヒルナだ。」
ポンと前脚で肩を叩くと、マンタは諦めたように座り込み苦笑いを零した。
「……アオイ様と、そっくりです。」
「一緒にするな。」
「アオイ様……。ヒルナを、よろしくお願いします。」
「……ああ。」