【完】狼様の最愛。
唯一変わったのは、お母さんの態度。
傷物に触れるように、お母さんの手は優しくなった。
どうして私は、動物と話せるの?
一度、お母さんに聞いたことがある。
お母さんは、「ごめんね。」と、言っただけだった。
――ピィ ピイ
小鳥が鳴いた。
ハッと現実に戻される。
頬が何故か、少し暖かい。
指で触れてみれば、雫がついた。
―― ピィピイピイ
小鳥が飛び立ち、私の肩に乗る。
指に触れたもの、それは涙。