【完】狼様の最愛。
「葵君さえさっさと起きてくれば、こんな風に走ることもなかったのに……。」
「……朝は苦手なんだよ。元々狼ってのは夜行性で……。」
頬を膨らませて言う雛ちゃんと、後半は聞き取れなかったんだけど、不機嫌そうに何かを呟くアオイ。
アオイと雛ちゃん……一体どういう関係なんだろ……。
まるで一緒に住んでるかのような口ぶり。
モヤモヤとした感情が、私の胸の内を渦巻く。
「発車しまーす。」
運転手さんの声がバス内に響き、その話は終わりとなった。
チラッと横を見れば、アオイはこちらに顔を向けて、眼をつぶっていた。
寝てる……?
顔にかかってる前髪を除けようと、アオイの髪に触れたとき、
ぱちっと、アオイの眼が開く。