【完】狼様の最愛。
驚いて、慌てて髪から手を離す私。
それを見たアオイはフッと笑い、髪を自分で除けて、
「昨日は、悪かった……。」
そう言って、私の手を握った。
さっき、私が遠ざけた左手。
また満足したように微笑み、今度こそアオイは、私の手を握ったまま眠りについた。
後ろの座席を見れば、雛ちゃんは窓の外を見ていて、私とアオイには気づいていない様子。
私とアオイはバスが丘川に着くまでずっと、指と指を絡めて手を繋いでいた。
「アオイ、アオイ……。バス、着いたよ。」
それから五十分後、
早くもバスは丘川に着いて、私はアオイを起こす。