【完】狼様の最愛。
私はバスから降りて、まだアオイが座ったままの座席を見る。
その時、眼にしたのは……。
「なんで……。」
アオイに唇を重ねる、雛ちゃんの姿……。
「痛い……。」
ギュッと、胸辺りの制服を掴む。
こんなに強く掴んだら、せっかくの制服が皺になるんだろうけど……。
そんなのが分からないぐらい、この時の私は不安定だった。
直ぐさまその場から離れた。
これ以上、二人の姿を見たくなくて。
「おっ、最愛じゃねえか。はよー。」
教室に入れば、やっぱり身長の高い遥が私に声をかけてくる。