【完】狼様の最愛。
遥の右肩には昨日の子犬
髪は相変わらず跳ねていて、
ネクタイは今日も無かった。
そんなゴールデンレトリバーみたいな遥を見て、何故か涙が出た。
「よぉうぅぅ〜……っ。」
「ちょっ、最愛!?」
急に泣き出した私に、焦る遥。
周りの人達は、何だ何だと言うように私達を見に集まる。
「ちっ……。最愛っ、こっち!」
ただ涙を流すだけの私の手を引き、遥は走り出した。
人混みを掻き分けて、誰もいない空き教室に入る。
つい最近まで使われていたのか、どう見ても空き教室なのに全然綺麗だった。