【完】狼様の最愛。








また、雛ちゃん……。





胸の内が、また黒いものに侵される。





そう思ったとき、背中にドンという勢い。





「聞きたいなら、聞いて来いよ。」





遥だった。



遥が、背中を押してくれた。





「……わかった。遥も、頑張ってね!」





私は走り出して、ドア際に立つ雛ちゃんの横を通り過ぎた。





雛ちゃんは何も言わず、私を見てた。



まるで、私を試してるように。








「あれ……? アオイ、どっちに行ったんだろ……。」





別れ道でアオイを見失った私は、迷子のように学校をさ迷う。





もう授業中だからか、廊下に人気は全くと言っていいぐらいにない。



その上、見つかったら怒られるというリスクつき。








< 143 / 376 >

この作品をシェア

pagetop