【完】狼様の最愛。
また、雛ちゃん……。
胸の内が、また黒いものに侵される。
そう思ったとき、背中にドンという勢い。
「聞きたいなら、聞いて来いよ。」
遥だった。
遥が、背中を押してくれた。
「……わかった。遥も、頑張ってね!」
私は走り出して、ドア際に立つ雛ちゃんの横を通り過ぎた。
雛ちゃんは何も言わず、私を見てた。
まるで、私を試してるように。
「あれ……? アオイ、どっちに行ったんだろ……。」
別れ道でアオイを見失った私は、迷子のように学校をさ迷う。
もう授業中だからか、廊下に人気は全くと言っていいぐらいにない。
その上、見つかったら怒られるというリスクつき。