【完】狼様の最愛。
正直に言えば、俺の家は貧乏な方だ。
貧乏という貧乏でもないけど、金持ちか貧乏かと聞かれれば間違いなく貧乏の部類。
家も小さい上に古いから、周りさえ静かであれば、外の音なんかは余裕に聞こえる。
ザクッ、ザクッ……。
当然こんな夜更けなんかは、家の周りを歩く誰かの足音も聞こえるわけだが……。
「誰だよ……。」
無意識に神経を張り巡らせ、ソッと呟けば足音が止まった。
「グウゥゥ……。」
唸るような、その声。
それを聞いて、俺はやっと緊張の糸を解いた。
――ガララララ...
窓を開ける。
「こんな朝早くにどうしたってんだ? …………マンタ。」