【完】狼様の最愛。
「悠ちゃん!!」
マンタを突き飛ばして、悠ちゃんの肩を掴む。
「今までどこにいたの!?」
「え、と……りっくんのお家とー、この山!」
りっくん?
「りっくんのお家にね、ロンがいるから。」
そう言って悠ちゃんは、腕の中にいたあの子犬を見せてくれた。
ロンって名前、つけてもらえたんだね……。
子犬が鳴く。
「悠ちゃんはね、この山で僕と遊んでたんだよ。」
また鳴く。
「でも逸れちゃって。僕は匂いを嗅いで悠ちゃんを探すんだけど、悠ちゃんも僕を探してあっちこっち行くから。気づいたら、夜になっちゃった。」