【完】狼様の最愛。
頭が、痛い……。
「おい、最愛……大丈夫か?」
いち早く私の異変に気づいたマンタが、ふらふらとする私の体を支えてくれる。
「だい、じょ、ぶ……。」
そう答えたけど、頭の痛さは格段と増してきてる。
ガンガンガンと鳴っていて、視界が歪む。
壷が揺れてる。
壷が
さっきとは違う、記憶の壷。
それはきっと、開けてはならない壷。
そこから警報が鳴ってる。
嫌だ……知りたくない。
私は知りたくない。
閉じた視界にあるのは、二つの壷。
一つは蓋をしただけの、私の知りたい記憶。
もう一つは蓋の上に鎖が巻かれてあって、私が知りたくない記憶。