【完】狼様の最愛。
今度は見えた。
白い……アオイの髪?
じゃあ今いるのは、アオイの背中……?
でも、大きい……。
まるで、さっきの狼みたい……。
「意識があるのなら聞け、最愛。今から動く。しっかりと掴め。」
私は手に力を込め、目の前のそれにしがみついた。
やっぱり、白くて大きい……狼だ。
なのに、
「アオイ様……。」
どうしてマンタは、彼をアオイと呼ぶの?
「マンタ、その人間から目を離すな。」
その言葉を最後に、私の意識は途切れた。
意識を失う最後まで、私は目の前の彼がアオイなのか狼なのか、わからずにいた。