【完】狼様の最愛。
着いた先、崎野の家の前で軽く唸れば中から崎野の娘が出てきた。
「あ、狼さんだ……。って、パパ! どうしたの?」
「力を貸してくれ。」
崎野の娘、勲友が動物と話せることは前に崎野から聞いた。
当時は軽く聞き流していたつもりの俺だけど、頭にはしっかりと入っていて。
まさか、コイツら人間に力を借りるとは思いもしなかったが。
「いいよ。」
崎野の娘が答える。
返答を聞いたんだから早々に此処を去りたいのだが、そういうわけにはいかない。
「勲友、この狼は何を言ってるんだ?」
コイツの許可を、得なければ。