【完】狼様の最愛。
――グルルウゥ...
聞こえたのは何かの低い唸り声と
「甘栗!!」
担任の声。
……って、
「崎野先生!?」
振り向いた先、俺は眼を疑った。
そこにいたのは、大きな狼に跨がった崎野先生と、悠と同じぐらい女の子。
「あっ、雛……!!」
俺の横にいた雛は、狼の方へと飛んでいく。
鳴く姿を見て、何かを話してるに思える。
もしかして、雛の仲間か……?
真っ白な毛並みに蒼い瞳……まるで森神みたいだ。
ジッとその光景を見ていると、狼と眼が合った。
――グルウ、ガゥ...
こっちを向いて唸られると、その迫力に軽く体が震えてしまう。
でも結局それだけで、殺気を感じない狼を、不思議と怖いとは思わなかった。
まぁ何より、先生とあんな小さい子が乗ってるんだからな。