【完】狼様の最愛。
「パパ、パパ。」
崎野先生の腕を引っ張る女の子。
えっ、まさか先生の娘!?
「……あぁ、わかった。」
女の子から何かを聞いた崎野先生は、俺の方へと向き直る。
「甘栗。突然で悪いが、俺達について来てくれ。」
「え……?」
「コイツが、そう言ってるみたいなんだ。」
“コイツ”
そう言って先生が指差したのは、隣にいる狼だ。
「説明は後でする。今はついて来てくれ。」
「す、すみません! でも今俺、実は妹を探していて……。」
「その、甘栗悠が見つかったと言えば?」
狼がまた唸る。
まるで〝時間が無い〟と、俺達を急かしているように感じた。