【完】狼様の最愛。
「ここは……広場……。」
「お前が倒れて、アオイ様がここまで運んだ。」
狼の後ろにはマンタ。
マンタの隣には、ロンを抱えた悠ちゃんもいた。
あっ、悠ちゃん!!
そうだっ、遥に連絡しないと……!!
慌てて携帯を取り出すも、山の中なので圏外だ……。
「甘栗遥になら連絡したぞ。」
「え……?」
どうして、狼が……。
「……あと数分で九時になる。八時のバスに乗らせたから、そろそろ来るだろう。」
そう言ったとき、広場の後ろの方からガサゴソと草を掻き分ける音。
「悠!!」
その正体は、汗を流し疲れきった様子の遥だった。