【完】狼様の最愛。
アオイが私の隣へとやって来る。
今までと違う、毛むくじゃらの大きな前脚。
いや、手と言うべきなのかな……。
それすらも、今じゃ分からない。
アオイが私に触れる。
その感覚は、人間のときと同じだった。
「俺達は、お前を騙そうだなんて思っていない。」
アオイにそう言われ、気づいた。
私が涙を流したのは、みんなに裏切られたと思ったから……。
都会にいた頃のように、周りのみんなが私から離れていくと感じたから。
「俺達は離れない。人間だろうが動物だろうが、俺達は最愛の仲間だ。」
なか、ま……。