【完】狼様の最愛。
まだ鞄に入れたままの服を一枚取り出す。
動きやすいように、下はズボンを選んだ。
靴下は長めのを選んで、半袖の上に軽い上着を羽織って。
帽子はキャップ、昔お母さんがくれた、お気に入りの帽子。
家を出るのは簡単だった。
玄関から靴だけを持ってきて、部屋の窓から家を出た。
「暑い……。」
少し歩くと、山の入口に着く。
その時、フッと昔を思い出した。
私が初めてこの山に来たのは、小学二年生の夏休み。
まだ私にも、「友達」というものがいたとき。