【完】狼様の最愛。
「私は、ここにいるから……。」
逃げていたのは、私も同じ。
アオイ達みんなが優しいから、甘えてたんだ、私。
悲しくないわけ、ないのに。
苦しくないわけ、ないのに。
私、みんなの優しさに甘えて、逃げてばかりいた。
「自分のことを忘れられて、何も感じないわけないじゃない……っ!」
最低だ、私……ほんと、最低……。
今までで一番、強く思った。
「記憶、取り戻したいよ……! みんなのこと、ちゃんと思い出したい……!」
このまま無かったことになんて、したくない!
ヒルナが私の肩に止まり、マンタが私の頭を撫でた。
白くて大きい、蒼い眼の狼。
褐色の小さな小さな雲雀。
焦げ茶一色の、とても穏やかな熊。
私の、仲間。