【完】狼様の最愛。
「アオイ様……どうして、話さなかったのですか。」
あの時。
最愛に全てがバレたとき、俺は話せなかった。
――どうして人間になれるの?
その問いには答えた。
話せなかったのは、俺とヒルナの間にあるリスクという重い話。
それは甘栗兄妹達も知らない。
崎野は当然クンのことがあるから知ってるが、俺が口止めした。
最愛が知れば、きっとアイツは悲しむ……。
最愛のそんな顔は見たくない……。
「……俺も休む。明日は土曜日だったな。ゆっくり休ませろ。」
「……はい。」
あの日の最愛を思い出す。