【完】狼様の最愛。








「お疲れか? マリンよ。」





最悪だ……。





近くから聞こえてきた声に、顔をしかめる。





「なんでここにいるんだよ……。旅に出かけたんじゃなかったのか……。」



「何々、お前の匂いを感じてな。」





体を起こす気にはなれず、視線だけをそちらに向ける。





いない、いない……



…………いた。





「俺に何の用だ……。」





そいつは木の上にいた。





カミリ



俺はコイツが、とてつもなく嫌いだ。





茶色い毛並みに軸が入っていて、丸くなった尻尾を振る姿は本当にウザい。





「何の用……いや、特に用は無いが。マリン、疲れておろう?」



「マリンって呼ぶな。クソ狐。」








< 247 / 376 >

この作品をシェア

pagetop