【完】狼様の最愛。








「ねぇ、マンタ。この切り株……アオイと誰の特等席なの?」



「は?」



「前言ってたじゃない。アオイ様とアイツしかダメなんだ、って。」





そう言った途端に、眼を明日の方向へと泳がすマンタ。





その姿にまた少し、胸の内が重くなった。





「そ、そうだったか……?」





隠し事は嫌い。



お母さんを思い出すから。





「お母さん、どこに行くの?」



「すぐ帰って来るから。」



「ねぇお母さん、どこ行くの?」



「待っててね、最愛。」



「お母さん!!」





海に沈んだお母さん。





結局あの日、お母さんはどこに行くのか教えてくれなかった。








< 253 / 376 >

この作品をシェア

pagetop