【完】狼様の最愛。
「アオイ、どうしたの?」
「……何がだ?」
最初は山で遊んでたものの、午後から私とアオイはいつか来たあの海に来ていた。
「さっきからずっと、ボーッとしてる。」
「……そんなことねぇよ。」
前と同じように海岸に座り、海を見つめる。
重なる手の平。
とても暖かいのに、なぜかひどく虚しい。
「…………最愛。」
小さく、アオイが私を呼んだ。
「何?」
真剣な眼でアオイはこっちを見る。
澄んだ蒼い眼に見つめられ、自然とが熱くなった。
「もし俺が……。」
でもその熱は、直ぐに下がった。