【完】狼様の最愛。
お母さんは私にそう言ったけど、私は何一つ、思い出すことが出来なかった。
でも今この山の入口に立って、思い出したことが、一つある。
私はやっぱり、この山に来たことがある。
そして、触れ合っている。
私の仲間……動物達を守るために、私は事故を起こしたんだから……。
足を前に踏み出す。
証拠も根拠も、何一つさえない。
あるのは、ただの感。
此処の動物は、私を襲わない。
根拠は無いけど、度胸はあると思う。
もし襲われてしまったら、死ぬかも知れないのに。