【完】狼様の最愛。
大きな木と木の間を、グングンと進んでいく。
初めて来た人は必ず迷子になると思うほどの、険しい道。
確か、昔はあったんだ。
たった一本の、安全な道が書いてあった案内板。
今はもう無くなっていて、代わりに“立入禁止”の看板が立ててあった。
安全な道は、全く覚えていない。
もしかしたら元々、記憶に無かったのかも知れない。
私が知るのは、安全な道とは違う道。
動物達の道と呼ばれる、別の道。
右に曲がって、二本目の木を左、突き当たりまで行って、また右。
……そして最後に、此処の草をひたすら掻き分けると……。