【完】狼様の最愛。








大きな木と木の間を、グングンと進んでいく。





初めて来た人は必ず迷子になると思うほどの、険しい道。





確か、昔はあったんだ。





たった一本の、安全な道が書いてあった案内板。



今はもう無くなっていて、代わりに“立入禁止”の看板が立ててあった。





安全な道は、全く覚えていない。



もしかしたら元々、記憶に無かったのかも知れない。





私が知るのは、安全な道とは違う道。





動物達の道と呼ばれる、別の道。





右に曲がって、二本目の木を左、突き当たりまで行って、また右。





……そして最後に、此処の草をひたすら掻き分けると……。








< 29 / 376 >

この作品をシェア

pagetop