【完】狼様の最愛。
これは天罰なんだと思う。
最愛に忘れられ、
亜希に愛想をつかされ、
美紀絵に罵られ……。
美紀絵とその両親が交通事故で死んだのは、一年前の夏のこと。
つくづく、中本と宮根は運が無いと思う。
そして、その中本の血を引いた俺も哀れだと思う。
俺が我慢してきた、この十四年間は何だったのだろうか。
笑えてくる。
そんな中、一番に思い出したのは娘の最愛。
彼女は僕を覚えていない。
自業自得だとわかっていても、悲しくて仕方がなかった。
どうしても思い出してほしくて、何度も亜希に会わせてくれと頼んだ。