【完】狼様の最愛。
「その切り株に触れるな。」
……後ろから、声がした。
「なんで人間が此処にいるんだよ……。」
振り向いた先にいるのは、大きな熊。
普通なら此処で、キャーッとか、ワーッとか言って、逃げるんだろう。
だけど言葉のわかる私には、そんな気にはなれなかった。
「……逃げねえの? 何、コイツ。別に襲ったりしねえけど……邪魔。これ見てわかんねえのか? 早くどけよ……、これだから人間は……。」
……何やら、ブツブツブツブツ話してる熊。
これ、私以外の人間から見たら、唸ってるようにしか見えないんだろうなぁ……。