【完】狼様の最愛。
「っ……うん!!」
私の返事を聞いたアオイは満足そうに、夜の道を走り続けた。
次第に見慣れた景色が広がっていき、
月に照らされる赤坂山が見えた。
山の下には、何台もののトラックやブルドーザーなどが止まっている。
それを見て不安が広がったが、直ぐにそれは取り払われた。
「絶対、崩させない!! ここは最愛の帰る場所なのよ!」
遠くても響く、ヒルナの高い声。
その何台もの車や機械の前にいた、山の動物達。
ヒルナ、マンタ……狸さん、栗鼠さん、兎さん……。
誰一人人間を怯えず、堂々と胸を張って構えていた。