【完】狼様の最愛。








結局こやつは何の力も持たぬ、ただの人間か……。





仕方なしに止めていた足を、再び前へと動かせる。





にしても、あやつ等は大丈夫じゃろか?



山が心配なうえ先に行かせたが、今思えば失敗だったか。





マリンの傷は、こやつと並ぶ程に相当な傷を負っていた。



どこかで倒れていないか、気が気でない。





「……ねぇ、狐さん。」





なんてことを考えていれば、また背中の上の人間が口を開いた。





「……ごめん。」



「…………。」



「僕を、恨んでいるかい?」





……当たり前だろ。



恨んでいるとも。









< 322 / 376 >

この作品をシェア

pagetop