【完】狼様の最愛。
「いくらあの女子が許そうとも、儂は許さぬ。亜希を殺した御主を、決して許さぬ。」
山添亜希。
彼女の実家も、あの赤坂村だった。
「狐さん!」
純粋で、無垢な人間だった。
自分より周りを大切にする、健気でお人よしな女子。
最初はその程度の印象。
亜希は動物と話せはしなかったが、感じることが出来た。
だからか儂のところへ来ては常に、儂の気持ちを覗いていた。
正直、迷惑極まりない。
心を覗かれるのは好かぬ。
でもそう伝える手段はなく、襲って彼女を追い払う気も毛頭なかった。