【完】狼様の最愛。
「歳を食うのは嫌じゃな……どうも、思い出に耽てしまう。」
フッと前を見れば、そこから見えたのは赤坂山。
麓では何人かの人間とたくさんの動物が、何やら楽しそうに話していた。
「狐さん……。」
また男が口を開く。
さっさとくたばれば良いのに。
くたばれば、儂が恨みを込めてその体全て食い尽くしてやるのに。
なんてことは、思うだけで言わず。
「……亜希は、幸せだったかな…?」
「…………。」
「最愛は、亜希が幸せを感じていたと言ったけれど……。本当に、亜希は僕といて幸せだったかな……?」