【完】狼様の最愛。
「いつまで寝てるの……?」
もう、世間ではクリスマスイブだっていうのに……。
「早く起きてよ……。私が、他の人のものになってもいいの……?」
最初は私を警戒してたクラスメートとも、長い時間のおかげか、今じゃ普通に話せるようになっていた。
そして先週、アオイが眠ってる間に、一回だけクラスメートの男の子に告白された。
もちろんそんな気は全くないけど、嫉妬深いアオイにそういうことで目覚めてくれないかな、なんて思って。
狼の姿で眠る、アオイの白い毛並みに頬を寄せて呟いた。
「今日も変わり無しか?」
その時茂みを掻き分けて、ロンを頭に乗せた遥がやって来た。
「うん……。」
久々に見たロン。
親戚の家にでも寄って来たのかな。
だから、今日来るの遅かったんだ。
今、アオイとヒルナはいない。
マンタも冬眠していて。
カミリさんは神出鬼没で姿を見せなくなった。
私と遥はいつも二人で、毎日山に来ては、二人が目を覚ますのをずっと待ってる。