【完】狼様の最愛。
「最愛の言った通り。人間も動物も、何も変わらない。動物だって生きることに絶望して、死にたいと思うときがある。」
「ロン…………。」
「生きる気なんて無かったのに。あの小鳥は僕の言うことを聞かないで、必死に助けようとして。」
初めて聞いた、ロンの心の内の言葉。
緊張からか、少し声が震えていた。
「でも助けられて、遥だけじゃなく悠ちゃんや最愛達と出会って。」
「今は、生きたいと思ってるんだ。」
「これは僕からのお返しだよ。」
その言葉を最後に、また一層光が強くなって……。
ロンの声は聞こえなくなった。
辺りは真っ白な空間。
遥やカミリさんの姿が見えない。
でも遠くで、こっちを見て微笑む女の人が見えた。
「生きて、最愛……。」